2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユダヤ人の記憶とホロコースト研究における記憶の政治学
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20520205
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
羽村 貴史 Otaru University of Commerce, 言語センター, 准教授 (00312439)
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Keywords | ハロルド・ブルーム / ルーリヤ派カバラー / ゲルショム・ショーレム |
Research Abstract |
平成21年度は、ハロルド・ブルームの文学批評理論およびルーリヤ派カバラーに関する論文を発表した。ブルーム論では、その心理的・修辞学的な研究スタンスを、ラビ・モシェ・コルドヴェーロおよびイツハク・ルーリヤの教義と関連づけ、彼の文学批評理論を現代におけるひとつのユダヤ思想として再評価した。ブルームについては、1980年代以降、日本内外で盛んに論じられたこともあったが、カバラーとの関連を詳細に論じた先行研究は、ほとんど皆無といってよかった。その点で、本研究にはそれなりの意義があったと考えられる。一方、ルーリヤ派カバラーに関する論文では、ルーリヤの教義の詳細と、宗教史家ゲルショム・ショーレムの功績と、ブルームの文学批評理論とを同時に論じた。ルーリヤの教義は、従来のユダヤ教を革命的に修正し、ショーレムのカバラー研究は、ルーリヤの狭義を歴史学的に読み替えるとともに、親範的な歴中学研究およびユダヤ研究を根源的に修正し、ブルームの文学批評理論は、ジョーレムの歴史学的成果を心埋修辞学的に修正した。本研究は、その修正の連鎖をたどることで、コダヤ学の諸側面を浮き彫りにした。また、夏季休暇中にアヌリ万合衆国に出張し、正統派ユダヤ教のティシャー・バアヴを視察した。出張報告書にも記したとおり、自分が考えていた以よに祈祷書の種類が多かった点など、発見も多かったし、現地の聖職者や研究者との対談や交流が大いに役立った。さらに、大量の書物を購入し、今後の課題も多く見つかった。
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Research Products
(2 results)