2011 Fiscal Year Annual Research Report
〈9・11〉以降における現代アメリカ演劇の比較演劇学的研究
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20520212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内野 儀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40168711)
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Keywords | パフォーマンス / アメリカ演劇 / 9・11 / 比較演劇学 / テロリズムと演劇 / 共同体と演劇 / 国家と演劇 / 演劇研究 |
Research Abstract |
本年度も引き続き、「<9・11>以降の現代アメリカ演劇の実態の把握」という観点から、ニューヨークとロスアンジェルスという東海岸と西海岸の演劇の拠点都市と、アメリカ合衆国各地に存在するリージョナル・シアターにおける演劇実践を具体的な研究対象とし、該当する演劇についての基本図書、すなわち現代アメリカ演劇関係の研究書や演劇を扱ったさまざまな雑資料(新聞、大衆雑誌を含めた諸雑誌)の収集を行った。また、本研究のもう一つの重要なテーマである「<9・11>以降」をめぐる欧米ならびに日本における思想状況を把握するため、多様な学問領域における基本図書を収集・通読した。その場合、批評理論にかかわる諸文献-ポスト構造主義、フェミニズム、ポストコロニアリズム、カルチュラル・スタディーズ等々-と、テロリズムやグローバリゼーションをめぐる思想・哲学系の書物が資料収集の中心となった。本年度は東日本大震災と福島の原発事故という歴史的出来事に見舞われたこともあり、共同体や災厄といった主題にかかわる数多くの言説が生産される年でもあったため、そうした主題と本研究にかかわる資料収集も行うこともできた。さらに、演劇の場合、活字メディアだけを見ても、そこから得られるものは限られることが想定されるので、活字メディア以外の演劇実践に関係する映像資料も可能なかぎり収集した。また、当初予定していたアメリカ合衆国への資料収集旅行は諸般の事情で断念せざるを得なかったが、招聘講演や国内における学会発表等で、これまでの研究成果を問う機会が得られたことが今年度の大きな学術的成果であった。こうして収集した資料はかなり膨大な量になったので、パーソナル・コンピュータを用いてその資料の整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上にあるようにほぼ順調に研究は進展しているが、昨今の大学の事情により(研究代表者の大学内における雑用の極端な増加)、海外での調査に支障を来す案件が今年はあり、その意味では年初の計画よりは多少、研究の進展が遅れた面があった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度に当たるので、これまでの成果をまとめつつ、研究成果を国際学会等で発表しつつ、学部レベルと大学院レベルの授業等にも還元していく予定である。
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Research Products
(3 results)