2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520214
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大田 信良 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (90233139)
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Keywords | 帝国 / ポストインペリアル / 英国文化 / イングリッシュネス / 20世紀 / 英米関係 / ジェンダー / グローバリゼーション |
Research Abstract |
まず、Virginia Woolfの小説テクストMrs Dallowayについては、そのアルメニアやアルバニアの表象を、ナチズムによるユダヤ人大量虐殺などに比較される前者アルメニアのジェノサイドの問題や後者アルバニアがギリシャとの間に抱える紛争、国際連盟の存立・維持可能性の問題に結び付け分析するために、大英図書館に赴き、本館において、The Criterionとヨーロッパとの知的・政治文化的結びつきを論じたS.Colliniの文献、また、Colindaleにある新聞雑誌部門においてThe Sunday Times 1944年分のマイクロフィルム、特にPost-War Forumを、それぞれ文献探索・調査した。 と同時に、Mrs Dallowayを夫Leonardや友人Nigel Nicholsonの国際政治論・外交政策といったサブテクストに関連付けて精読することにより、これらのテクストが担うポストインペリアル英国文化における政治的・文化的意味を解釈することも試みた。この成果は、「金貨のポリティカル・エコノミー--帝国の文化とブルームズベリー・グループ」遠藤不比人・大田信良ほか編『転回するモダンー-イギリス戦間期の文化と文学』研究社、2008.337-59.として発表した。 その上で次に、こうした政治的問題が、ジェンダーや公共性/私的空間の問題とどのように複雑に連動しているのか探るために、Mrs Dallowayをモチーフにした小説Michael Cunningham The Hoursおよびその映画化における女性性、病、政治文化のトランスアトランティックな移動・歴史的系譜の表象を解釈し、日本ヴァージニア・ウルフ協会の例会(3月21日於同志社大学)において「『転回する』The Hours?--ブルームズベリー・グループとポストインペリアル英国文化」として口頭発表した。
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