2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヴィクトリア朝文学に見られるイジメの社会的および心理的文脈の研究
Project/Area Number |
20520221
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 光治 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 教授 (70181708)
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Keywords | イジメ / ヴィクトリア朝 / 社会的文脈 / 心理的文脈 / イギリス小説 / ディケンズ / ギャスケル / ギッシング |
Research Abstract |
本研究は、ヴィクトリア朝の文学テクスト-主にディケンズ、ギャスケル、ギッシングの小説-を一次資料とし、そこで明示的/暗示的に描写されたイジメの場面に焦点を定め、19世紀イギリスの時代精神と社会風潮の影響を受けた人間のイジメという言動の法則性を突き止め、そうしたイジメの言説を表出させている社会的および心理的文脈を解明するものである。 平成21年度は、翌年度の22年度(西暦2010年)がギャスケルの生誕200年にあたるので、研究代表者が編者となって『ギャスケルで読むヴィクトリア朝前半の社会と文化」(9月29日刊行予定)の出版を計画・立案した。その主たる目的は、ギャスケルの思想と感情が表白された作品に多角的なアプローチで迫り、テクスト内部に再現されたヴィクトリア朝の時代精神と社会思潮を複合的に分析しながら、従来の社会史や文化史で提示された言説の傍証を固めるとともに、今までヴィクトリア朝研究において看過されてきた点を独自の立場から照射するである。それに従って、ギャスケル文学にとって重要なヴィクトリア朝の社会的・文化的コンテクストから30のテーマを選び、学界の泰斗に加えて今まさに最前線で活躍している中堅・若手の研究者を含め、総勢30名に参加を慫慂し、すべての編集作業を21年度の秋に終えた。最終原稿はすべて以下のサイトに参加者全員に閲覧できる形で置いている。なお、研究代表者は「レッセ・レール」の章を担当し、自由放任主義という楽観主義的なイデオロギーが生み出す社会問題に提示された解決策の楽観性についての論考の中で、極端な格差社会における階級的なイジメを考察した。
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Research Products
(5 results)