2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520231
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
園井 千音 Oita University, 工学部, 准教授 (70295286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園井 英秀 九州大学, 名誉教授 (00069709)
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Keywords | 英米文学 / 宗教学 / 西洋史 / 思想史 / 哲学 |
Research Abstract |
本年度はイギリス文学と文化概念構築の関係において特に18世紀後半から20世紀前半のイギリス文学における国民意識及び文化形成との関連を検証した。具体的には、ワーズワース、サウジー、ブレイクの文学作品における急進主義的思想及びイギリス帝国主義思想との相克を宗教思想的資料(主に非国教主義の宗教的急進主義と社会的抑圧政策との関連を中心に)と社会思想的資料(1790年代を中心とするヨーロッパ諸国の共和主義思想と保守的政策との軋轢を中心に)の分析とともに検証した。 即ち、イギリスロマン主義文学において共和主義的思想と国家主義的思想は対立的ではなく補完的構造を示すことを明らかにした。この過程における宗教的価値観の共有的性質は極めて重要であること、さらに以上の見解はロマン主義思想における限界を示唆するものではなく近代イギリス社会の文化意識形成の基盤となる思想的特徴として理解すべきこと確認した。以上の研究成果はさらに19世紀後半〜20世紀前半におけるイギリス文学・文化の性質との関連における調査が必然であり以下の成果を得た。第一に、19世紀半ば以降のイギリス詩における不活発は、その文学的主題における道徳的性質と宗教的主題の減衰が原因であること、第二に、ダーウィニズムなどによるキリスト教教義に対する深刻な疑問がイギリス文学及び文化の形成に影響を与えたこと、またこのテーゼを主としてロード・テニスン及びマシュー・アーノルドの文学及び文化論において検証した。第三に19世紀末から20世紀初頭の国民意識及び国家意識がイギリス文学の性質を形成する過程で複雑な、あるいは、矛盾する影響を与えたことを中途まで検証した。この課題は次年度に引き継ぐ。
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Research Products
(2 results)