2008 Fiscal Year Annual Research Report
ビッグ・ハウス文学におけるモダニティの実証的研究、及び新批評の構築
Project/Area Number |
20520235
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
山根木 加名子 Kobe City College of Nursing, 看護学部, 教授 (30132492)
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Keywords | エリザベス・ボウエン / ビッグ・ハウス文学 / イヴァ・トラウト / モリー・キーン / モダニティ / フェミニズム / 表象批評 / 現代批評 |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀ビッグ・ハウス文学の中心となるエリザベス・ボウエンとその後継者モリー・キーン、ウィリアム・トレヴァー、ジョン・バンヴイル、ジェニファー・ジョンストンらの作品を現代批評理論で分析し、これらが伝統的ビッグ・ハウス小説とは異なるモダニティ・革新性を特徴とする事実を実証することにより、新たな批評を構築し、ビッグ・ハウス文学を見直して正当な評価と文学的地位を与えることである。まず、フェミニズム、精神分析学、文化、歴史等の観点からボウエンら各作家の主要作品を考察してその特色を明らかにする。これらと19世紀エッジワースを始祖とする伝統的ビッグ・ハウス小説とを比較することにより、20世紀ビッグ・ハウス小説のモダニティを実証して新たな批評の構築とビッグ・ハウス文学の再評価を行う。 そこで本年度は、イギリス、アイルランド、日本国内での文献・資料の調査研究と収集を行い、これらの資料の分析に着手した。アイルランドではダブリンのトリニティ・コレッジ図書館、イギリスでは大英図書館において他では入手できない貴重な文献資料を閲覧し、入手した。これらの資料を分析しつつボウエンの『Eva Trout』を考察し、日本語と英語で論文化した。アプローチの方法としては、フランス、フェミニスト派の「エクリチュール・フェミニン」理論を用いて本作品がフェミニズム的意欲作であることを論証した。また別の論文では、表象批評によって『Eva Trout』における<場>と<移動>の表象性を明らかにした。これらの論文によって、伝統的といわれるボウエンが持つモダニティ、革新性を明らかにすることができた。 さらに、キーンの研究にも着手したところである。
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Research Products
(2 results)