2009 Fiscal Year Annual Research Report
ビッグ・ハウス文学におけるモダニティの実証的研究、及び新批評の構築
Project/Area Number |
20520235
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
山根木 加名子 Kobe City College of Nursing, 看護学部, 教授 (30132492)
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Keywords | エリザベス・ボウエン / ビッグ・ハウス文学 / モリー・キーン / ウイリアム・トレヴァー / 運命の愚者 / ナラトロジー |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀ビッグ・ハウス文学の中心となるエリザベス・ボウエンとその後継者モリー・キーン、ウィリアム・トレヴァーらの作品を現代批評理論で分析し、これらが19世紀のエッジワースを始祖とする伝統的ビッグ・ハウス小説とは異なるモダニティ・革新性をもつことを実証することにより新たな批評を構築し、過小評価されてきたビッグ・ハウス文学を見直して正当な評価と文学的地位を与えることである。 本年度は昨年に引き続き、各作家の主要作品を現代批評により分析・考察し、これらにおけるモダニティや革新性を明らかにして、その成果を論文として発表する。そこで、まず米国のテキサス大学、ハリー・ランサム・センターにおいて、ボウエン、キーン、トレヴァー、ボウエンの崇拝者であるメイ・サートンらの草稿、未発表の手紙等、補足の調査と新資料の収集を行った。これらを活用して、ジュリア・クリステヴァのアブジェクシオン理論からアプローチした「A Postmodern Study of Molly Keane's Good Behaviour:An Approach Through Abjection」「W.トレヴァーの『運命の愚者』:ナラトロジー的アプローチ」を論文化した。また、ボウエンやエッジワース研究・調査に関連する小文2編も発表した(『英日文化』No.98,99)。これらによって、キーンやトレヴァーのビッグハウス小説におけるモダニティ、革新性を明らかにすることができた。 さらに、ボウエンの初期と後期におけるビッグ・ハウス小説の比較考察により、後期作品にみるモダニティの研究にも着手したところである。
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Research Products
(1 results)