2009 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀イギリス小説における結婚法変遷の意味作用の分析
Project/Area Number |
20520239
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
永富 友海 Sophia University, 文学部, 准教授 (60305399)
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Keywords | 19世紀イングランドにおける結婚法 / 従兄妹間の結婚 / ハードウィック結婚法 / Mansfield Park / Jane Eyre / ジェンダー / 女性の自伝 |
Research Abstract |
研究年度2年目にさしかかった本年は、昨年度、ブリティッシュ・ライブラリ収集した18,19世紀イングランドにおける結婚法改正に関する一次史料の分析を基に、研究終了後発表予定の著作の執筆にとりかかった。 1. まず、すでに草稿が完成していた「イントロダクション」に、主に実証主義的な注を加えて、大幅な手直しを試みた。 2. 第一章で取り上げるジェイン・オースティンのMansfield Parkを再読し、従兄妹間の結婚と、共同体における身内・他者のイデオロギーという観点から読解を試みるにあたり、本作に関する主要な研究論文の収集、読解をおこなった。 3. 第二章でとりあげるJane Eyreを、「女性の自伝」という視点から照射することで、ヴィクトリア朝社会に流通していた言説と、小説の言説が呼応する磁場に見られる力の動きを探ろうとしている当研究が、批評的アプローチのための重要なエレメントのひとつとして着目する「ジェンダー」という問題に、具体的な分析の道筋をつける作業をおこなった。まず、とりわけ19世紀において盛んになってきたとされる「自伝」というジャンルについての研究書、研究論文を調査収集し、19世紀イングランドにおいて書かれた女性による自伝としてもっとも有名なMargaret OliphantとHarriet Martineauの自伝の読解をおこなった。 4. 19世紀イギリスにおける「自伝」の議論は、来年度の日本英文学会のシンポジウムでも取り上げられ、そのセッションにパネリストとして参加予定である。このセッションのメンバー4名各人が調査した史料の情報提供および史料についてのディスカッションを、7月に京都大学でおこなった。 5. 自伝に関する資料収集のため、2010年3月11日に、同志社女子大学の図書館を訪問した。 6. 昨年度、ブリティッシュ・ライブラリで試みたハードウィック結婚法に関する一次史料収集を独行するため、また「自伝」という観点を加えることで、論文全体の方向性に加えるべき修正点についてサセックス大学のLindsay Smith教授と意見交換をおこなうために、2010年3月21日~27日まで、海外出張をおこなった。
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Research Products
(1 results)