2010 Fiscal Year Annual Research Report
アイルランド小説における女性身体と女性空間をめぐる研究
Project/Area Number |
20520251
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中村 哲子 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20237415)
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Keywords | アイルランド小説 / ビッグ・ハウス / アングロ・アイリッシュ / コネマラ |
Research Abstract |
当該研究の最終年度にあたり、アイルランド小説におけるビッグ・ハウスの役割を踏まえつつ、女性表象のありようについて研究を進め、研究全体のとりまとめも行った。具体的には次のような成果を上げることができた。 1.19世紀半ば以降、カトリック文化圏である西アイルランドのコネマラ地方で伝説的に語り継がれた地主の末裔、Mary Martinに注目し、その歴史とフィクションのはざまで浮かび上がる女性性とアイルランド性について明らかにした。その成果は、国際アイルランド研究協会の大会(於アイルランド)で公にされた。 2.ビッグ・ハウス小説のありようを歴史との関連で掘り下げるため、日本アイルランド協会の年次大会でシンポジウムを企画し、アングロ・アイリッシュの概念に関わる問題と、1830年代、19世紀末、20世紀前半のアイルランド小説の問題を掘り下げた。2011年度に関連論文が公になる見込みである。 3.19世紀前半のアイルランド小説を多角的に掘り下げるため、国際アイルランド研究協会日本支部大会でシンポジウムを企画し、アングロ・アイリッシュ作家に加えてカトリック作家の視点から描かれたビッグ・ハウスの地主と小作人の問題を解き明かした。2011年度に関連論文が公になる見込みである。 4.19世紀前半において、西アイルランドのコネマラ地方がいかなる空間として捉えられていたかについて、当時の旅行記から考察する研究を展開した。1~3の研究テーマと深くかかわる問題を含み、19世紀前半において各作家がアイルランド性とは何かを模索しながら、イギリス帝国主義との関連でアイルランドをいかに位置づけたのかが明確となった。成果の一部は論文として発表された。
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Research Products
(5 results)