2009 Fiscal Year Annual Research Report
テネシー・ウィリアムズの戯曲における日本演劇の影響についての研究
Project/Area Number |
20520258
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
古木 圭子 Kyoto Gakuen University, 経済学部, 教授 (80259738)
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Keywords | 実験演劇 / 歌舞伎と能の影響 / 芸術家像 / キャンプ / リアリズムと表現主義 / アメリカ演劇の60年代 / 三島由紀夫 / 劇的装置としての人物 |
Research Abstract |
平成21年4月~平成22年3月までの期間においては、The Day on Which a Man Died, In the Bar of a Tokyo Hotel,およびThe Milk Train Doesn't Stop Here Anymoreにおける日本演劇の影響について考察し、日本英文学会のシンポジウムにおいて発表した。本発表では、The Day、Tokyo Hotel, Milk Trainなどの戯曲において、Williamsが、日本演劇の要素を駆使することで表象する「日本」および「アメリカ」とはどのような存在であるのかを考察した。特にMilk Trainにおいては、アメリカ帝国主義を象徴する人物Goforthが、表面上は彼女の「装置」として機能する黒子(Kurogo)や、彼女の「ジゴロ」的人物として登場するChrisに実はその生死を操られているという逆転劇を示すことに、アメリカ帝国主義、西洋コロニアリズムに対するWilliamsの挑戦がみられるという視点を示した。また本年度は、「日本」の要素がみられる戯曲として、2004年まで未発表であった戯曲And Tell the Sad Stories of the Deaths of Queensを採り上げ、研究発表、学術論文として発表した。男性の服装倒錯者を主人公とする本作品は、Williamsの描く女性主人公の多くが、同性愛者の男性が女性に「異装」したものであるとする先行研究の解釈を正当づけるものではなく、両主人公に共通する潜在的芸術性を、意図的に異なったジェンダー、セクシュアリティを用いて描こうする試みを示す。主人公の「キャンプ」的性質、そしてその性質を強調する者としての日本的家屋を模した舞台装置は、性の表象が人工的に操作可能な要素であり、ゆえに「キャンプ」であるという劇作家の視点を示すと思われる。
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Research Products
(5 results)