2010 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア的主体の系譜 現代ロシア文化の自己表象とその文化史・思想史的相関
Project/Area Number |
20520276
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
野中 進 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (60301090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝澤 哉 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30247267)
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Keywords | ロシア / 文化研究 / 文学 / 思想 / 映画 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトの目的は以下の通りである:現代ロシアの文化は多様な展開を見せているが、その中でも「ロシアの独自性」に対する共通した関心が顕著である。本研究では、この関心を「ロシア的主体への欲望」と定式化し、この欲望が現代ロシアでどのような現れ方をしているかと調べると同時に、この欲望が文化史・思想史的に見てどのような系譜をもつかを明らかにする。 今年度は本研究プロジェクトの最終年度であるため、本研究の総括と成果報告のための作業を中心とした。具体的には以下の通りである: (1)関連文献資料の整備本研究に関連のある文献資料を入手し、埼玉大学・早稲田大学の図書館等に整備した。 (2)国外発表2011年7月にストックホルムで開かれた第8回ICCEES世界大会でのセッション「ロシアの記号論的伝統:東と西からの視点(Semiotic Tradition in Russia:Perspectives from East and West)を組織・開催した。研究代表者はセッションの司会とコメンテータをつとめ、研究分担者は報告を行った。 (3)論文発表研究代表者はソ連時代の特異な作風をもつ作家アンドレイ・プラトーノフについての論文を発表した。また、同じくソ連時代の独自な哲学者グスタフ・シュペートに関する書評論文を発表した。いずれの論文でも、「ロシアの独自性」という観点からこれらの作家と哲学者の特殊性がどのように理解されるかに留意した。いずれも査読有。 (4)アウトリーチ活動本研究プロジェクトの研究成果を広い範囲の読者層に向けて発信するために研究代表者が編者の一人となって『現代ロシア文化論集(仮題)』の編集作業を行った。2011年中に東洋書店から出版の予定である。
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