• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2008 Fiscal Year Annual Research Report

ドイツ近現代文学における「神義論的思考」の変遷

Research Project

Project/Area Number 20520277
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

川中子 義勝  The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)

Keywords宗教 / 啓蒙 / 神義論 / 予型 / 形象 / トポス / 賛美歌 / ハーマン
Research Abstract

本年度は研究のライトモチープとしての「神義論」、すなわち作品を統括する目的論的自己同一性としての「神義論的思考」を厳密に定義づけ、研究の方法論的妥当性を確保することに努めた。特に、概念としての「神義論」の認識を深めておくことが不可欠な毅階となる。その為に、まず「神義論」の術語を導いたライプニッツの著作に始まり、この概念を楽観的に打ち出す啓蒙主義時代の物理神学思想(ダーハム)や、修辞的共同体におけるその典型的表現形式となった宗教的抒情詩(プロッケス、ゲレルト、ハラー)などを考察の対象として据えた。これらの詩人たちについては、詩人と作品の全体像を獲得するために、著作集の他にも、その当時の作品出版の背景をなす諸事情の記録などを参照する必要がある。そのためイェーナのヘルダー学会参加の機会に当地の図書館、文書館などを訪れて資料の収集・参照にあたった。あわせて、会議参加者と本研究のテーマについて意見交換を行った
「神義論」は元来神学の術語であるが、その内包する思考の変遷を跡づける為には、やはりその用いられる修辞的文脈を広範に辿り、ある程度網羅的に秩序づけねばならない。その内実を覆う言説は文学・思想に限られず、説教などの記述や民間の説話に及ぶ広大な裾野を有している。その言説を文脈も含めて収集、検証するという予備作業も一部行ったが、その際にもイェーナ出張の機会を用い、ある程度の成果を収めることができた。
「崇高なる存在」としての神の叙述が、中世からルターに至るまで保たれていた「聖なる神の尊厳」への畏敬をかえって希薄なものとし、世俗化の時代における「裏返された神義論」をやがて来るべきものとして準備することを、この段階でも検証しておく必要がある。そのために、同時代のイギリス詩をも比較考察することに努めた。

  • Research Products

    (4 results)

All 2009 2008

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 譬えと予型--二人称の詩学2009

    • Author(s)
      川中子義勝
    • Journal Title

      ERA 2

      Pages: 92-103

  • [Journal Article] J.G.ハーマンにおける「霊」-Daimon-Genius-Genie-2008

    • Author(s)
      川中子義勝
    • Journal Title

      ドイツ文学 138

      Pages: 91-107

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 言葉と戦争2008

    • Author(s)
      川中子義勝
    • Journal Title

      詩と思想 271

      Pages: 35-57

    • Peer Reviewed
  • [Book] 詩学入門2008

    • Author(s)
      川中子義勝
    • Total Pages
      451
    • Publisher
      土曜美術社出版販売

URL: 

Published: 2010-06-11   Modified: 2016-04-21  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi