2009 Fiscal Year Annual Research Report
ギリシア・ローマ文学における他者との共生に関する研究
Project/Area Number |
20520285
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 正廣 Nagoya University, 文学研究科, 教授 (40127064)
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Keywords | 西洋古典学 / ギリシア / ローマ / 他者 / 共生 / ウェルギリウス / 農耕詩 / 比較文明論 |
Research Abstract |
他者としての「自然」を取り上げ、自然との共生の観念と意識について、主にギリシア初期からヘレニズム期を経てローマ時代までの教訓詩文学を対象として分析した。 (1)初期ギリシア詩人ヘシオドスの『仕事と日』、およびヘレニズム期の詩人アラトスの『パイノメナ』を中心的テクストとしてギリシア的自然観の変容をたどり、自然との共生の観念を探った。 (2)自然との共生を考えるうえで最も重要な古典文献であるウェルギリウスの『農耕詩』を対象とし、この詩人が哲学詩人ルクレティウスの『万物の本質について』を踏まえながら、自然の中での人間のあり方を深く追究したプロセスに関して、この詩人独自の自然観について論じた小川の単著『ウェルギリウス研究』(1994年)および同詩人の『牧歌』と『農耕詩』の全訳(2004年)に付した詳細な注解と解説を応用しつつ考察を深め、さらにその後の新たな知見も加えて、ローマ文明における自然との共生意識に関して考究した。 また今年度は、ヨーロッパ・地中海周辺地域の古代ローマ文明圏の遺跡・考古学博物館等(チュニジア、イタリア)において、古代都市文明と自然環境との共生に関する歴史・考古学的現地調査を行ない、さらに比較文明論的観点から、東西交流と多民族共生、東洋・アジアの自然環境と西洋文明との共生に関しても研究するために北京市と大同市(中国)において現地調査を行なった。
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Research Products
(5 results)