2010 Fiscal Year Annual Research Report
ギリシア・ローマ文学における他者との共生に関する研究
Project/Area Number |
20520285
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 正廣 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40127064)
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Keywords | 西洋古典学 / ギリシア / ローマ / 他者 / 共生 / 悲劇 / 喜劇 / 比較文明論 |
Research Abstract |
ギリシア・ローマの悲劇と喜劇の諸作品において、社会的関係における優位・劣位の他者との共生のモチーフを考察した。 (1) ギリシア悲劇に関しては、異民族観を扱った『ペルシア人』、男と女の対立を内包する『オレステイア』、女性の反逆を描いた『アンティゴネ』、疎外者のドラマ『ピロクテテス』、女性と異民族と非市民の要素の結合した『メディア』、異民族の女性と奴隷の境遇に焦点をあてた『トロイアの女たち』などを中心にして他者との共生の問題点を探った。またギリシア古喜劇(アリストパネス)については、『女の平和』『女の議会』『女だけの祭』を対象として、男性と女性、父権と母権、自民族と異民族、主人と奴隷の二項対立のドラマに共生の可能性についての問題意識を分析した。 (2) ローマ共和政時代のプラウトゥスとテレンティウスの喜劇をめぐって、奴隷、遊女、内妻、非市民の外国人など伝統的に男性市民に対して劣位の他者として位置づけられる人間たちとの共生が、奴隷解放の増加や女性の権利拡大を背景としてどのように模索されているかを検討した。 (3) また今年度は、地中海周辺地域(小アジア・トルコ西岸)の古代遺跡・考古学博物館等において、ギリシア・ローマ文明と異民族・異文明との共生に関する歴史・考古学的資料調査を行ない、さらに比較文明論的観点から東洋・アジアの伝統的社会と西洋文明との接触と摩擦および共生に関しても中国(上海図書館、蘇州大学等)において資料調査を行なった。
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Research Products
(3 results)