2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520297
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
北見 諭 Kobe City University of Foreign Studies, 外国語学部, 准教授 (00298118)
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Keywords | 思想史 / 哲学 / ベルジャーエフ / 言語哲学 |
Research Abstract |
本研究はロシア思想による「生の哲学」(ニーチェ、ベルクソン。プラグマティズム)の受容の過程と、そこに見られる問題点を検討しようとするものである。前年度までにイワーノフによるニーチェ受容、ロースキーによるベルクソン受容について検討したため、21年度にはロシア思想におけるプラグマティズム受容の諸層を明らかにするため、その準備作業としてベルジャーエフの思想についての基礎的な研究調査を行った。ベルジャーエフの思想はこれまで研究の対象としてきたイワーノフやロースキーの思想とは一定の差異を持ちつつ、全体として、あるいは最終的にはそれらと同じ志向を秘めていることを明らかにすることができた。ベルジャーエフについてはさらに研究を続け、その研究成果は今後何回かにわたって公表するつもりであるが、その最初の成果は22年度の夏に論文として提出する予定にしている。また、21年度にはプラグマティズムに関わる基礎的な問題についても調査・研究を行う予定であったが、本研究の対象とするロシア・ルネサンス期の思想について、別の角度からこれを検討する機会を得たため、そちらの検討を優先すべきと考え、21年度にはプラグマティズムの研究・調査はいったん保留にすることにした。別の角度からの研究というのは、言語哲学の観点からの研究である。とりわけ検討の対象としたのは、やはりルネサンス期の思想家であるセルゲイ・ブルガーコフの言語哲学であるが、それを検討することによって、ルネサンス期のロシアで重要な意味を持っていた言語哲学(「名の哲学」)が、本研究が明らかにした、イワーノフやロースキーの認識論や存在論と同じ志向をもつものであることを明らかにすることができた。この言語哲学に関わる研究の成果もまた、22年度の夏に論文の形で提出する予定である。
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