2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代ロシア文化におけるスターリニズム表象とその起源
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20520298
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
岩本 和久 Wakkanai Hokusei Gakuen College, 情報メディア学部, 教授 (40289715)
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Keywords | 外国文学 / ロシア / ソヴィエト |
Research Abstract |
本研究は,1960年代末から現在までの間にロシアでなされたスターリン時代を題材とする表象を分析し,その時代ごとの変化や諸傾向,影響関係を探るものである。この作業を通して,ソヴィエト文化と現代ロシア文化の継続性と差異を明らかにすることを目指している。 2008(平成20)年度の具体的な活動としては,以下を挙げることができる。(1)ロシア文学・文化に関する文献・視聴覚資料の収集,(2)ペテルブルグとユジノサハリンスクにおける博物館展示の現状の調査,(3)北海道大学における研究会の開催,(4)インターネットサイトの開設。 北海道大学における研究会(11月15日)では,連携協力者の梅村博昭がソ連初期の文化に特徴的な「若返り」の主題について比較文学的な視点から考察を行なった他,前田しほがスターリン時代についての精神分析的な再評価について,佐藤亮太郎が「雪解け」期における戦争小説の変化について報告するなど,道内の若手研究者による報告が活発になされた。この研究会を通して,イメージ分析の可能性や,ジャンル意識の変容といった研究の視座を確立できたと言えよう。 一方,代表者の岩本和久はソ連文化と現代文化の比較,精神分析的な全体主義理解についての考察を行なった。特にソ連時代から活躍してきた作家アイトマートフとソルジェニーツィンについて再検討を行い,その一部を書評や評論の形で『週刊読書人』(7月25日)や『北海道新聞』(8月8日)に発表した。ソルジェニーツィンについては現代作家ペレーヴィンとの比較も行い,日本ロシア文学会研究発表会で報告を行った。また,東洋書店より刊行された『情報誌の中のロシア』において,現代ロシアの都市風景の中に見られるソヴィエト文化へのノスタルジー,特にスターリン様式の復活について論述した。
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Research Products
(3 results)