2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代ロシア文化におけるスターリニズム表象とその起原
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20520298
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
岩本 和久 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 教授 (40289715)
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Keywords | 外国文学 / ロシア / ソヴィエト |
Research Abstract |
本研究は,1960年代末から現在までの間にロシアでなされたスターリン時代を題材とする表象を分析し,その時代ごとの変化や諸傾向,影響関係を探るものである。この作業を通して,ソヴィエト文化と現代ロシア文化の継続性と差異を明らかにすることを目指している。 2010(平成22)年度は前年度までの活動を継続し,ソルジェニーツィンを中心としたソ連後期の作家の創作についての文献収集と分析,及び最新の文学作品の収集と分析を行なった。さらに絵画や映画にも対象を広げ,北海道大学において開催した研究会で若手研究者との情報交換を行なった他,ラトガース大学(米国ニュージャージー州)所蔵のソ連期非公式芸術コレクションの調査を行った。また,2009年度までの研究成果について,中間報告集を刊行した。 ソルジェニーツィンについては,『赤い車輪』や『200年を共に』といった後期の作品を分析した。最新の現代文学としては,2009-10年に発表された小説のうちから,イリチェフスキイ『ペルシア人』,ヘムリン『クロツヴォク』,『極限』を分析した。北海道大学における研究会(3月5日)では岩本がそれらの成果を報告した他,松下隆志が若手ポストモダニズム作家(ペッペルシテインとエリザーロフ)について,佐藤亮太郎がロシア戦争映画について報告を行なった。ソ連非公式芸術のコレクションを誇るラトガース大学附属ジマーリ美術館では,それらの作品の現物を確認した他,大学の公刊した文献(研究書や紀要,カタログ)を収集した。中間報告集『戦争と異世界』はソ連・ロシア文学を対象としたもので,前田しほと佐藤亮太郎が第2次世界大戦の文学表象について,宮風耕治と岩本和久がSFやファンタジー作品がスターリン時代をいかに扱っているかについて,それぞれ論じている。
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Research Products
(4 results)