2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代ロシア文化におけるスターリニズム表象とその起原
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20520298
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
岩本 和久 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 教授 (40289715)
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Keywords | 外国文学 / ロシア / ソヴィエト |
Research Abstract |
本研究は,1960年代末から現在までの間にロシアでなされたスターリン時代を題材とする表象を分析し,その時代ごとの変化や諸傾向,影響関係を探るものである。この作業を通して,ソヴィエト文化と現代ロシア文化の継続性と差異を明らかにすることを目指している。 2011(平成23)年度は前年度までの活動を継続し,ソルジェニーツィンやアクショーノフなどソ連後期の作家の創作についての文献収集と分析,及び最新の文学作品,アート作品の分析を行なった。 ソルジェニーツィンについては『赤い車輪』や『200年を共に』,さらには作家自身がシナリオを執筆しているテレビドラマ『煉獄の中で』といった後期の作品を,アクショーノフについてはテレビドラマ化されて人気を呼んだ『モスクワ・サガ』を分析し,その成果をソルジェニーツィン記念在外ロシアの家(モスクワ)で開催された国際シンポジウム『アレクサンドル・ソルジェニーツィンの人生と創作-「赤い車輪」への道』,日本ロシア文学会のワークショップ『いま,ソ連文学を読み直すとは』,東洋書店から刊行された『ロシア文化の方舟』で発表した。 最新のロシア文学・文化については,アート集団AES+Fについての論文を『ユーラシア研究』に掲載した他,JSSEES(日本スラヴ東欧学会)のシンポジウム『ソビエト崩壊の20年』において報告を行った。また,北海道大学で研究会を開催したが,そこでは2009年-10年にモスクワに留学していた前田しほによる最新のロシア文壇の状況についての報告が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソルジェニーツィンやアクショーノフを中心に分析を行うことで,1960年代からソ連崩壊後までの文学活動について一定のパースペクティヴを得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は研究計画の最終年度にあたるため,これまでの研究で扱うことのできたなかった文学作品をも分析の対象としながら,成果をまとめることとする。
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Research Products
(7 results)