2012 Fiscal Year Annual Research Report
現代ロシア文化におけるスターリニズム表象とその起源
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20520298
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
岩本 和久 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 教授 (40289715)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | 外国文学 / ロシア / ソヴィエト |
Research Abstract |
本研究は,1960年代末から現在までの間にロシアでなされたスターリン時代を題材とする表象を分析し,その時代ごとの変化や諸傾向,影響関係を探るものである。この作業を通して,ソヴィエト文化と現代ロシア文化の継続性と差異を明らかにすることを目指している。 最終年度である20厄(平成24)年度は研究全体の総括として,ソルジェニーツィン,シャラーモフ,ギンズブルグ,グロスマン,トリーフォノフ,ルイバコフといったソ連期の作家から現代作家に至るまでの,文学作品におけるスターリン期表象の系譜を再検討し,現代ロシア社会におけるこの時代の神話化の諸相を,その成立過程も含めて明らかにすることができた。特に21世紀に入ってから作品がテレビ・ドラマ化されてもいるソルジェニーツィンとアクショーノブの創作の対比は,この作業において有効なものとなった。 また,ソルジェニーツィンやオレグ・パヴロフによる収容所文学の舞台となっているカザフスタンのエキバストゥス,カラガンダでの現地調査を10月21日から28同の日程で行い,作品に描かれた空間の細部,および博物館におけるスターリン期の展示の現状を確認した。この調査旅行については,『北海道新聞』で紹介している(岩本和久「カザフスタンの日本人強制収容所は今」『北海道新聞』2013年1月18日夕刊,5面)。 上記の成果および2009年度,2010年度の研究会の内容を収録した論集『現代ロシア文学とスターリニズム(II)』を刊行した。論集にはロシア現代文学に詳しい若手研究者である前田しほ,松下隆志から寄稿を受けることができた。
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Research Products
(4 results)