2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランス近現代文学におけるネオ・ジャクソニスム的傾向の研究
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20520306
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
田母神 顯二郎 Meiji University, 文学部, 准教授 (30318662)
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Keywords | 仏文学 / ジャクソニスム / 解離性障害 / アンリ・ミショー / ピエール・ジャネ / 精神分析 / アンリ・ベルクソン / プルースト |
Research Abstract |
2008年度は研究の初年度にあたり、ます資料の収集と分析に重点を置いた。は、1)18世紀から20世紀前半にかけてのフランスで刊行された心理学・精神医学・精神分析関係の著作、2)主として19世紀末から1980年代までの精神医学関係の雑誌所収の関係論文のコピー、3)フロイト、ユング、ラカンなど精神分析関係の著作および資、4)ボードレール、プルースト、ミショー、ベケットなどの作品と参考文献の収集を行い、また順次収集した資料の分析作業も進めている。本研究においては、仮説理論の構築と整備がまず重要になるが、この点では新たに入手できた資料、特にメーヌ・ド・ビランの著作を研究することで、ピエール・ジャネの精神解離理論の前提となっている「部分意識」という概念が、ライプニッツからビランを経由してジャネに至っていること、また、ここでスペンサー、ジャクソン、リボーといった系譜を持つ<ジャクソニスム>の流れと融合しつつ後者の進化論的・生理学的態度から解放されることで新たな発展をみたこと、そしてそこからユング、フロイトらの<コンプレックス>概念へと至る道筋が出来上がったこと、などをある程度根拠づけることができた。一方、ジャネの理論を同時代のベルクソンやフロイトの理論と比較する作業も進展し、通時的視点と共時的視点の双方から、<ネオ・ジャクソニスム>の概念を明確化する用意が調いつつある。この他に、大学院生を主要メンバーとしたネオ・ジャクソニスム研究会を発足し(2008年10月)、2ヶ月に一度のペースで研究会を実施する一方、2009年度(国内)および2010年度(国際)に予定しているシンポジウムの準備を参加予定者とも相談しながら進めてきた。
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