2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520308
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
大鐘 敦子 Kanto Gakuin University, 法学部, 教授 (50350541)
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Keywords | ヘロディアス / サロメ / 草稿研究 / フローベール / ダンス |
Research Abstract |
本年度は、昨年開始したパリ国立図書館所蔵のフローベール『ヘロディアス』(分類番号N.a.f.Mss.23663_1-2)の草稿転記作業を続行し、フランス文学における最初の「サロメのダンス」の自筆原稿のうち、Danse 1,Danse 2,Danse 3に関わる「下書き原稿」の転記作業をすべて遂行し、執筆順序を確定した。また、初年度に購入した草稿のマイクロフィルムのコピーでは判別できない箇所および、作家による鉛筆書きの記入等に関しては、国立図書館site Richelieuにて自筆原稿閲覧の許可を取って調査し、正確な結果を転記に映した。また当初の研究実施計画に基づき、これらを分析し成果を海外で発表した。そのうち二件が海外の査読を通ったものである。 1「関東学院教養論集」第20号に掲載すると同時に、昨年に引き続き、Rouen大学フローベール研究所のサイト上で、ダンスに関する草稿番号と草稿の扱っている内容およびパリ国立図書館の電子図書館Gallicaに当する番号を中心に目録を作成し掲載した。 22009年度Rouen学フローベール研究所論集Revue Flaubert第9号のConfusion des genres(ジャンルの混淆)に、昨年および今年の転記成果を用いて、ダンスにおける詩的イメージと散文的イメージの混淆による音韻の問題についての論考を掲載した。特に研究成果としては、草稿の見える状態をそのまま再現する最新のedition numeriqueの方法で付録Annexeに掲載し、「サロメのダンス」の文学史上初の描写の「下書き原稿」の生成過程をサイトに公表することができた。 3掲載は2010年秋となるが、同じくフローベールの「サロメのダンス」の研究成果を反映し、19世紀から21世紀にかけて横断的に翻案作品全体における意味を問い直したフローベール『ヘロディアス』の文学史における重要性を論じた比較文学研究論文《Vers un nouveau mythe de Salome》は、モンペリエ大学のオスカー・ワイルド100周年記念号(英文論集)に特別招待論文(仏語)として特別に掲載が採用された。 4最新の電子校訂版に関する情報収集と技術の習得に関しては、リヨン国立科学研究所による同作家の未完の大作『ブヴァールとペキュシェ』の約3000枚の「読書ノート」自筆原稿の転記作業とデジタル化国際プロジェクトのメンバーとして、2010年3月11日に立教大学で主催者Stephanie Dord-Croule女史を招聘して開催されたワークショップで転記作業の成果を報告し、本研究の成果も反映させた。
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Research Products
(4 results)