2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520310
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
武市 修 関西大学, 文学部, 教授 (80140242)
|
Keywords | 中高ドイツ語の迂言表現 / 動詞tuonの代動詞機能 / 中高ドイツ語の押韻技法 |
Research Abstract |
中高ドイツ語の2大英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』と『クードルーン』についての前年の研究に引き続いて、今年は宮廷叙事詩の代表的な3作品『イーヴァイン』、『パルツィヴァール』、『トリスタン』および教訓詩『イタリアの客人』に見られるすべての用例を改めて分析することによって、押韻とリズムの観点から動詞lazenの本来の語形と縮約形の用法の違いを明らかにした。 さらに「研究実施計画」どおり、時代が少し下った散文作品である『ベーメンのアッカーマン』における動詞tun, lassenの用例をすべて精査した。そしてtunの代動詞機能、lassenの動詞と助動詞の使い分けを分類し、さらに、わずかに残る縮約形を抽出し、それらの結果と従来から取り組んできた押韻文学作品に見られる用法・用例の多様さとの違いを比べた。この比較によって「研究の目的」である押韻文学としての中世ドイツ叙事文学の表現技法の特徴を明確に示すことができた。ただ、散文作品『ランツェロット』の分析が予定どおりに進まなかったので、これは将来の課題にしたい。 今年の研究結果は、平成22年度の研究成果の欄に記したように、ドイツの言語学専門誌に1編の論文が本学会誌に載せられる著者の5本目の論文として掲載され、また、予定どおりポーランドのワルシャワで開催された5年に1度の国際学会である、国際ゲルマニスト会議で発表された。さらに、同じくポーランドのジェロナグラ大学で行われた、「ドイツ語の変遷」をテーマとする国際学会にも招待され発表の機会を得た。
|
Research Products
(3 results)