2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520316
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牧 陽一 Saitama University, 教養学部, 教授 (40241921)
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Keywords | 中国現代アート / 広州トリエンナーレ / 上海ビエンナーレ / 798大山子芸術区 / 莫干山路50号 / 草場地 / アヴァンギャルド・チャイナ / プロパガンダと芸術 |
Research Abstract |
当該研究の初年度である08年9月、広州・上海・北京へと大規模な調査を実施することができた。広州では「広州トリエンナーレ」を開催準備段階から調査することができた。また広州のアートスペースでは「ピンポン・アート」ビタミン・クリエイティヴ」「小洲」などを調査することができた。資料面では「広東美術館」から「毛沢東時代美術」の図版ファイルを借り受けることができ、毛沢東時代のプロパガンダ美術に関する図版資料が整った。 上海では「上海ビエンナーレ」のほかアート・フェア、「莫干山路50号」などの美術展、芸術区を調査できた。北京では「798」「草場地」などの芸術区を調査し、多くのアーティストにも研究に関して助言を受けた。また書籍や資料も購入収集できた。 現時点での成果は中国の地域によって芸術区の現状はかなり相違しており、それぞれの特色が見出せることである。また現代アートの趨勢として単にバブル経済に乗って商品化を進める作家ばかりではないことが明白になった。現代アートは「30年代美人画」「毛沢東様式」などをポップ・アートやキッチュに換骨奪胎させてきた。現在は体制化された「社会主義リアリズム」にある教条主義的な正義感を払拭させた。そして現代アートの言語で「貧困」「格差」といった今日の課題を、全媒介を使って鋭角的に表現する「ピュア・リアリズム」が誕生している。こうした趨勢は世界不況に見舞われた今日の状況に対する共通した表現方法として意識される。 以上の報告の一部は『BT美術手帖』のワールド・ニュース、「不是鉄、也不是花(鉄でもないし、花でもない)一文革から現代アートへの女性の視覚表象」に載せた。また口頭では新美術館での「アヴァンギャルド・チヤイナ」展シンポジウムや首都大学東京・秋葉原でのコロキウム「プロパガンダと芸術」で発表することができた。
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Research Products
(6 results)