2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520316
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牧 陽一 Saitama University, 教養学部, 教授 (40241921)
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Keywords | 中国現代アート / ピユア・リアリティ / 艾未未 / 798大山子芸術区 / 蔡國強 / 草場地 / アヴァンギャルド・チャイナ / 体制と芸術 |
Research Abstract |
当該研究の2年目である09年7月森美術館で「艾未未AiWeiwei展 何に因って?」が開催され、艾未未に会い、活動について話を聞くことができた。9月には北京調査を実施することができた。北京では「798」「草場地」などの芸術区を調査し、艾未未、楊少斌、楊福東ら多くのアーティストやユーレンス現代芸術センター館長ジェローム・サンスらに会い、現代アートの状況、研究に関して助言を受けた。また関係書籍や資料も購入収集できた。やはり9月福岡アジア文化賞授賞記念フォーラムでは蔡國強に会い、体制とアートに関して質問した。作家との会談で筆者に意識されたのは体制と作家の関係であり、この点で、艾未未と蔡國強は対照的な存在であると思われる。 昨年08年の広州・上海・北京、今年09年北京調査の結果は「埼玉大学紀要教養学部」に公表した。現時点での成果は中国の地域によって芸術区の現状はかなり相違しており、それぞれの特色が見出せることである。広州ではハイブリッド・アートが模索され、上海では農村と都市の貧富の差など社会問題を意識した作品群が目立つた。北京もまた同様で、より鋭角的な「ピュア・リアリズム」が誕生している。現代アートは単にバブル経済に乗って商品化を進める作家ばかりではないことが明白になった。そして現代アートの言語で「貧困」「格差」といった今日の課題を、全媒介を使って鋭角的に表現する趨勢は世界不況に見舞われた今日の状況に対する共通した表現方法として意識されると思われる。 以上の研究成果は「埼玉大学紀要教養学部」やフォーラムでの発表で公表できた。
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Research Products
(3 results)