2008 Fiscal Year Annual Research Report
石刻復元資料による柳宗元を中心とした唐代文学の文理融合型研究
Project/Area Number |
20520328
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
戸崎 哲彦 Shimane University, 法文学部, 教授 (40183876)
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Keywords | 唐代文学 / 柳宗元 / 石刻 / 韓愈 |
Research Abstract |
本年度の研究によって以下の知見を得た。1、柳宗元の作品で石刻として伝えられたもの、あるいはそのように著録されているものは、方志を含む史料約八〇種を調査した結果、今日、九〇に近い作品が知られる。この数量は唐人にあって決して少なくない。ちなみに韓愈では70弱。ただし検討を要するものも多い。中でも清・呉式芬等『金石彙目分編』は最も網羅的である。ただし単に集本の記載を解釈したに過ぎない可能性が高く、また仮に存在したとしても別に真偽の問題が残る。その中で韓愈「送桂州嚴大夫」・柳宗元「桂州〓家洲記」は共に桂林山水賛美の作として著名であり、かつ桂林に刻石されていたが、宋代への影響は韓愈の作の方が大きい。2、文献著録の中でも録文を有している作品は意外と多い。中でも「龍城石刻」・「唐故饒娥碑」・「唐故清河張府君墓誌銘」・「先聖文宣王柳州廟碑」・「花石巖」詩・「武岡銘」・「遊朝陽嵒遂登西亭二十韻」・「漁翁」詩・「唐道州文宣王廟碑」・「太白山祠堂碑并序」・「興州江運記」・「書箕子廟碑陰」・「鈷〓潭」詩等は重要であり、さらに新出土・新発見のものに「故秘書省校書郎獨孤君墓志」・「唐朗州員外司戸薛君妻崔氏墓誌」・「懿王像賛」(手書)がある。これらの作品には多くの異文の存在が想定され、集本との対校が必要である。3、現存が確認される石刻で書者を検討すべきものに「龍城石刻」・「登西亭二十韻」・「漁翁」詩・「獨孤君墓志」・「薛君妻崔氏墓誌」・「懿王像賛」がある。「龍城」・「懿王」(行書)についてはすでに議論があり、後者は偽作説が優勢であるが、「西亭」・「漁翁」は恐らく摸刻(行書)であり、「墓誌」二篇(楷書)は書者が無記である。同一書体間における筆跡・書風の比較を試み、特徴の帰納、共通性の有無等の析出を通して真贋を鑑定する必要がある。
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Research Products
(2 results)