2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520341
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
松家 裕子 Otemon Gakuin University, 国際教養学部, 教授 (20215396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 一郎 龍谷大学, 文学部, 教授 (50027554)
磯部 祐子 富山大学, 人文学部, 教授 (00161696)
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Keywords | 中国文学 / 宝巻 / 唱導文藝 / 江南 / 浙江 / 紹興 / 平湖 / 〓子書 |
Research Abstract |
本年度の研究活動とその成果は、(1)浙江における宣巻の実地調査と(2)宝巻とその関連領域についての文献調査、に大別される。(1)については、磯部・松家が、まず11月に平湖に赴いた。現地の研究者の手引きで、「〓子書」とよばれる歌と語りの芸を行う芸人について、「社」(土地神)のまつりと神像の開眼供養という、ふたつの祭の場へ赴き、そこで行われる歌と語りの儀礼と芸とをつぶさに調査した。ここでは「白玉燕宝巻」が祭りの余興=娯楽として行なわれ、テキストをみず、ひとりで、声色や所作を使って演じられていた。また、3月には紹興へ赴いた。同じ宣巻とはいえ、演じかたは平湖と異なり、廟(神社のごときもの)で宗教色の濃い願掛けの宣巻が行なわれていた。「売花宝巻」が、テキストを前にして、4人によって、脚色によって分担されつつうたわれていた。平湖と紹興いずれにおいても、すべてをビデオに録画し、テキストを写真に収め、また芸人にたいするききとり調査を行なうことができた。これらによって、文献の背後にひろがる二様の世界をまのあたりにすることができたことになる。文献の誤りを訂正できた部分もあった。これらの成果は現在整理中で、平成21年度中に公表の予定である。 文献研究では、まず、小南が、宝巻の題材にもなっている、浙江の杭州西湖にまつわる「白蛇伝」について、東方学会で報告を行った。磯部は宝巻の上演について、中国語で論文を発表した。松家は、宝巻と共通の題材も多い伝統劇「評劇」についての文章を発表したほか、「杏花宝巻」の翻訳の公表にむけて、作業を進めた。
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