2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520341
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
松家 裕子 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (20215396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 一郎 龍谷大学, 文学部, 教授 (50027554)
磯部 祐子 富山大学, 人文学部, 教授 (00161696)
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Keywords | 宝巻 / 宣巻 / 唱導文藝(唱導文芸) / 太保書 / 包拯 / 中国 / 浙江 / 紹興 |
Research Abstract |
今年度の研究は、実地調査の継続と、3年間の研究成果のまとめ、のふたつに大別することができる。まず、実地調査の継続では、2011年1月23日に、浙江省平湖市郊外の農村、周班鎮周家牙の三義廟の「封閉」のまつりにおいて、「太保書」と呼ばれる「うたいもの」について調査を行った。まつりは、担い手である顧炳金さんがうたう「太保書」によって進行し、その歌詞には多くの神々が登場し、中国の基層の人々がつくってきた、豊かな宗教世界を具現化していた。調査では、まつりの一部始終を映像に収め、テキストを撮影したほか、顧炳金さんやまつりの主宰者・参加者にも話をうかがい、唱導文藝のひとつのありかたと、テキストとそれをとりまく状況とのかかわりについても、多くの知見を得た。次に、研究成果のまとめでは、本科学研究費の報告書として、従来型の冊子のかたちで『中国近世唱導文藝研究-江南地域における実態調査』を刊行した。ここには、松家による、紹興における実地調査および北京の首都図書館における調査で得られた「売花宝巻」の数種のテキストの検討、小南による中国の観音信仰についての論考を載せたほか、磯部「平湖欽子書芸人に見る中国民間芸能の今」(『富山大学人文学部紀要』第51号、2009年8月)およびその加筆翻訳版である「浙江民間曲芸的現状-以平湖欽子書芸人為中心」(『韓国文化社』2010年)を再録している。松家はまた、これとは別に、2009年3.月、紹興における宣巻の調査の詳細を、「紹興の宝巻-二〇〇九年三月・馬山鎮寧桑村-」にまとめた。 このようにして、本研究は、中国における唱導文藝とそれをとりまく民間の信仰について、新しい見方を提出することができたと考えている。
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Research Products
(4 results)