2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520345
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 義裕 Hokkaido University, 大学院・メディアコミュニケーション研究院, 教授 (40200761)
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Keywords | 心の理論 / 視点 |
Research Abstract |
平成20年度における本研究の具体的内容とその意義について、理論研究の側面とデータの収集・分析を含む経験的研究の側面に分けて報告する。 理論研究としては、二年目以降の本格的研究の基礎固めのために、本研究と関係が深い隣接分野の最新の研究の動向を探った。本研究は、認知科学、特に「心の理論」に基礎を置いたコミュニケーションの学際的研究である。視点表現の分析などの狭い意味での言語コミュニケーション研究から一歩踏み込んで、発達心理学、社会心理学あるいは精神医学の分野の研究において、「視点」という概念がどのような研究領域で取り扱われているかを探った。関連分会野の資料の収集や学会での意見交換などを通じて、発達心理学における共同注視(joint attention)や自己認識(self-awareness)研究、社会心理学や精神医学分野における自他関係やアイデンティティ研究、あるいは批判的言説分析(CDA)研究やドキュメンタリー研究における視点論などが、広義の「視点現象」を探る上で極めて重要であることが新たに分かった。 経験的な研究としては、久野〓の共感度研究、鈴木孝夫の親族呼称の研究、廣瀬幸生の再帰代名詞「自分」の視点研究などの代表的な視点現象に関する言語研究を「心の理論」の観点から批判的に検討した。さらに、本研究が扱うべき視点現象の経験的領域として、メディア言説およびネット空間におけるコミュニケーションにおいて、「心の理論」の理論研究に貢献しうるような、非常に興味深い視点現象が存在することを確認した。
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