2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520345
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 義裕 Hokkaido University, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (40200761)
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Keywords | 心の理論 / 視点 |
Research Abstract |
平成21年度は、平成20年度に調査を行った「視点」に関する言語学の隣接分野の研究の知見を批判的に検討し、コミュニケーションあるいはより一般的に対人関係・他者関係における視点の機能について議論を深めた。以下、平成21年度における本研究の具体的内容と成果について、経験的研究および理論研究の二つに分けて報告する。 経験的研究として考察のと対象したのは、現代の若者コミュニケーションの形熊である。社会学やメディア論の研究者たちから、若者のコミュニケーション形態がこの十数年で大きく変化していることが指摘されており、その実態を明らかにするためにケータイなどの通信ツール利用したコミュニーションの実態について調査し、その結果について分析を試みた。 理論的な研究としては、近代からポスト近代における他者関係のありかたや自己形成の変化について、大澤真幸や東浩紀らの社会学分野における研究を参考に考察した。ポスト近代への大きな変化について、「大きな物語の凋落」(東)や「第三者の審級の失効」(大澤)などの概念を用いて、超越的な視点の相対化の現象が盛んに議論されている。こうした先行研究を踏まえた上で、若者のコミュニケーション形態・他者関係の変容について「まなざしを贈る」という論文を執筆し、その中で超越的な視点が失調して、あらゆる価値が相対化するなかで、私たちの関係性やコミュニケーションの形態がどのように変化しているのか、視点論の観点からそのメカニズムを論じた。 今年度は、この社会学的考察を言語コミュニケーション研究へと再度接続する計画である。
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