2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520352
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
氏平 明 Toyohashi University of Technology, 留学生センター, 教授 (10334012)
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Keywords | 母語の発話の非流暢性 / 第2言語習得時の発話の非流暢性 / 非流暢性の分節 / 音韻単位 / 中間言語 / 発話産出モデル / 収集サンプルの信頼性 / 記述の信頼性と複数のチェック |
Research Abstract |
1)すでに収集し、著者の聴覚印象による記述済みの第2言語習得時の英語母語話者、中国語母語話者、朝鮮語母語話者、合計53名の発話の非流暢性サンプル690例を、再度録音からの聴覚印象で音声学と第2言語習得に通じた第三者に記述依頼した。結果は音韻単位習得に関する非流暢性が記述済みのものと100%の一致、その他が90%の一致で信頼性の確保を得るには十分な一致度であった。 2)同様に吃音と非吃音に関する既に収集済みで著者の聴覚印象で記述済みの日本語母語話者のサンプルの30%の約800例に対して、再度言語学、音声学の専門知識を有する第三者に録音聴取からの記述依頼をした。結果は記述済みのもの96%の一致を見た。また英語母語話者のサンプルについても英語、言語学、音声学の専門知識を有する第三者に同様な依頼をし、95%の一致を見た。これらの作業が当初20年度の予定だったのが21年度に持ち越された部分である。 3)上記の英語母語、中国語母語、朝鮮語母語話者の第2言語習得過程の非流暢性サンプルを基にして、日本語学習者が初期の段階とかなり学習の進んだ段階で、発話の非流暢性の分節に見られる変化の統計的分析から、日本語の音韻単位、モーラ習得の過程を想定した。初期の段階では、母語に関係なく音節の分節が多数を占め、進んだ段階ではモーラが多数を占めるが各母語の主となる音韻単位もかなり出現する。その分析結果とDellの英語母語に関する語彙検索発話産出モデルを基に、日本語母語の言語モデルと言語習得モデルの仮説を提示した論文を日本音声学会の学会誌に投稿し、『音声研究』第12巻の3号に掲載された。
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