2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520356
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岸本 秀樹 Kobe University, 人文学研究科, 教授 (10234220)
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Keywords | 統語構造 / 階層性 |
Research Abstract |
本研究課題の統語構造の階層性に関する対照言語学的研究は本年度が2年目にあたり、特に、研究基盤をさらに発展させ、理論的考察のためおよび最終的な研究目標達成のために必要となる研究を発展させた。具体的には以下のように計画を進行させている。まず、言語現象を的確に記述できる理論開発のために、文献の調査などにより既存の理論的な枠組みでは捉えられない理論的に必要な道具立てはなにかという検討を行った。実証的な側面と理論的な側面の双方から、既存の統語理論における問題点を解決するために,日本語および英語を中心に基本となるデータの収集と整理を初年度に続いて行い、日語・英語およびHindi, Marathi, Bengali語に見られる非規範的な構文のいくつかについて比較対照を行った。その検討の中で,英語に対してはあまり見られないようなタイプの主語がHindi, Marathi, Bengaliに現れるこことが述語のタイプとの関係において見られることがわかり,これと同じような現象が日本語において見られるかどうかについて現在検討を行っている。本年度は,このような現象の検討を通じて,主語の階層性(主語がどのような構造位置に現れるかについての問題)と主語に与えられるマーキングに一定の関係があることを明らかにすることができた。本年度は、スロバキアとキプロスに出張し、他の研究者との意見交換および研究発表を行った。また、この研究の成果の一部は、参加した国際学会の会議録に掲載される予定であり,またこの他にも,本研究に関係する論文が学術雑誌に掲載された。以上のように、本年度も着実な研究の進展と成果が得られたと考えている。
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