2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520359
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中井 幸比古 Kobe City University of Foreign Studies, 外国語学部, 教授 (10221441)
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Keywords | 伊吹島方言 / アクセント / 和田實 / 妹尾修子 / 京都方言 / 録音資料 / DVD-ROM |
Research Abstract |
1965〜1966年の、和田實・妹尾修子両氏による、香川県伊吹島方言のアクセント調査録音(オープンリールテープ)をパソコンに取り込み、wavファイル化した。このwavファイルと、これに関する、中井の解説・研究のファイルを収納したDVD-ROM(片面1層1枚)を作成し、配布した:『和田實・妹尾修子録音による伊吹島アクセント資料』(『方言アクセント録音資料1』ISSN1883-6704)。和田氏の研究は、伊吹島方言アクセントが日本語諸方言の中で重要な位置を占めることを明らかにしたもので、研究史上重要である。本DVD-ROMは、この重要な研究の基盤となった録音資料を保存するのみならず、録音資料を研究者が共有することによって、一層の研究の進展を期すものとして有意義である。伝統方言の衰退が著しい現在、今では調査不能な、上の世代の話者(1898生)の録音が含まれている点も貴重である。さらに臨地調査によって中井自身の録音資料も収集し、これもDVD-ROMに収録した。 そして、これらの録音を資料として、伊吹島方言の5拍体言の音調型の聞き取りを行い、従来報告されていなかった当該方言のアクセントの世代差の一端を明らかにした。 和田・妹尾両氏の録音はDVD-ROM2枚にまたがる予定であったが、編集の結果1枚に収まったので、すでに編集作業が終わっていた、京都アクセントの録音の一部を収録した、DVD-ROM(片面2層1枚)をも作成し、配布した:『録音・京都アクセント辞典』(『方言アクセント録音資料2』)。これは、1910年生の1名の話者による、単語・短文読み上げを収録したものであり、中井(2002)『京阪系アクセント辞典』の一部に対応するものである。この世代の話者による、多くの語を対象とした、当該方言のアクセント調査録音はこれまで公開されておらず、資料としての意味が大きいと考える。書籍上の音調記号が、実際どのような音声として実現するのかを明らかにするものとしても重要である。
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