2009 Fiscal Year Annual Research Report
否定関連現象の形式意味論研究-時・量化・取り立てい焦点を当てて
Project/Area Number |
20520361
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
楠本 紀代美 Kwansei Gakuin University, 文学部, 准教授 (50326641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
タンクレデイ クリストファー 慶応義塾大学, 言語文化研究所, 准教授 (80251750)
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Keywords | 英語 / 否定 / 形式意味論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまであまり否定と関連づけられてこなかった現象に着目し、その意味解釈や相関関係を考察することにより、否定とその関連現象の双方の意味を明らかにすることである。取り扱う否定関連現象として、時に関する副詞表現や時の量化などの時制・相の意味論に関する現象、個体量化表現や複数表現に関する現象、取り立てや尺度含意に関する現象などが挙げられる。楠本は、否定の意味そのものの解明に取り組み、状態性という観点から研究に取り組んだ。従来否定された述語は、元の述語の状態性やイベント性に関わらず、一律に状態を表すとされてきた。本研究では、述語の意味分類により、異なる程度の状態性があることを明らかにした。この過程で状態性とは何か、という議論にも踏み込んだ。今後この違いが時の量化や個体量化とどのように相関するのかを検討していきたい。これと並行して、否定極性表現と時の副詞の研究も取り組み始めた。特にこれまでの研究で明らかにした英語と日本語との相違点に着目し、両言語の統語構造の違いからその差異を導きだすという方向性で理論化を行った。タンクレディは、法助動詞の解釈に焦点を当て、これまでのモデル理論の修正を試みた。これまでの法助動詞は可能世界への量化を行うと考えられてきたが、これに加え、可能モデルへの量化も含まれると提案した。これによって異なる種類の様相の解釈が可能になる。この新しい枠組みにおいての法助動詞と否定との関連について、従来と同じ予測が可能なのかを今後検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)