2008 Fiscal Year Annual Research Report
発話冒頭に出現する助詞に関する研究:話し言葉特有の現象の解明を目指して
Project/Area Number |
20520365
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
中田 節子 (有田 節子) Osaka Shoin Women's University, 学芸学部, 教授 (70263994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 英俊 中京大学, 情報理工学部, 教授 (10134462)
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Keywords | 意味論 / 統語論 / 談話意味論 / 提題助詞 / とりたて助詞 / 話し言葉 / 会話分析 / ゼロ照応 |
Research Abstract |
本年度行ったことは、大きく、基礎資料の作成と理論言語学的分析に分かれる。本研究の対象は話し言葉特有の現象ということから、自然会話を収集し、発話の冒頭に出現する提題助詞や取り立て助詞のデータを蓄積する必要があった。テレビの対談番組を録画したものを書き起こすという作業と、自然会話を収録したものを書き起こすという作業を中心におこなった。事前の調査により、比較的あらたまった場面に現れやすいことがわかっていたので、友達同士の会話に加え、インタビュー形式の会話も収集した。書き起こしに当初の想定以上に時間がかかっているため、細部の分析にまで至っていないが、これについては次年度引き続き行う予定である。理論言語学的分析は、統語論的分析と談話意味論的分析に分けられる。前者については、本年度9月に一週間米国Northwestern大学に出張し、海外研究協力者の吉田方哉氏と打ち合わせを行い、発話冒頭に現れる「は」を含む構文がどのように派生されるかに関する統語的分析の可能性とその検証方法について議論した。談話意味論的分析については、研究分担者の白井英俊氏(中京大学)が中心に行い、発話の冒頭で助詞だけが残るという現象を、ゼロ照応の一つの用法と見なし、実際にゼロ照応ではどのようなものが先行詞となるか、また先行詞とゼロ照応との距離はどのようなものであるかを考察した。また、助詞だけが残る現象が子どもや若者の言葉に多いという仮説の元で、子どもと大人向けの談話を比較してその特徴を調べた。実際には話し言葉の資料が手元にはないため、便宜的に書き言葉である文章を対象としたが、2009年度以降は、対象を話し言葉に広げて研究する予定である。3月に代表者と分担者が中京大学において、具体的な現象の確認などを行い、今後の方向性について検討した。
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Research Products
(4 results)