2010 Fiscal Year Annual Research Report
現地調査とデータベース作成によるアバール語の格配列と他動性に関する総合的研究
Project/Area Number |
20520366
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
山田 久就 小樽商科大学, 言語センター, 准教授 (60345246)
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Keywords | 言語学 / 統語論 / アバール語 / コーカサス諸語 |
Research Abstract |
アバール語の格配列および他動性について下記のような調査・研究を行った。 ・場所格交替動詞(spray/load動詞、clear動詞、wipe動詞)について調査を行い、論文「アバール語における場所格交替動詞について』でアバール語にどのような場所格交替動詞があるのかについて述べた。spray/load動詞とは日本語の"塗る"のように二つの格配列(「ペンキを壁に塗る」と「壁をペンキで塗る」)で表現できる動詞である。アバール語にはspray/load動詞はとても少ないが、AM-ox'ize「塗る」などがある。ある側面から見ると何かをある場所から移動することを意味する動詞で二つの格配列で表現できる動詞が存在するが、移動元が直接目的語になっている場合に移動対象を表現できるのがclear動詞、できないのがwipe動詞である。アバール語では、clear動詞はAM-ats^ts^ine「きれいにする」だけであるが、wipe動詞はch^ex'eze「出す、空にする」など多少存在する。 ・k"ot'ize「切る」など切断と関係する動詞の意味、自動詞としての使用の可能性、テキストでの使用頻度について調査を行い、k"ot'izeの道具が鋭利な刃物に限定され、刃物でもはさみなどもは基本的に許容されないこと、k"ot'izeは派生的な意味ではよく自動詞で使われるが、物理的な意味では使われにくいが、自動詞として使われていると考えられる使用例があることなどが明らかになった。 ・テキストにおける広範な使用例をもとに、四つの使役動詞の使われている使役の意味(強制使役や許容使役など)の調査を行い、tezeは一般的には許容使役として使われる動詞であるが、埋め込まれている動詞が自動詞でその主語が物である場合に一般的な使役の意味で用いられることがあることなどが明らかになった。
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Research Products
(1 results)