2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520367
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
嶋崎 啓 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 准教授 (60400206)
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Keywords | 言語学 / 独語 |
Research Abstract |
ドイツ語の受動態を表すwerden+過去分詞は、werdenという動詞が本来「~になる」という完了的な意味を持つので、もともと「~される」という完了的な事態のみを表していた。それに対し現代ドイツ語では、er wird geliebt「彼は愛されている」のように「~されている」という継続的な事態を表すことも可能になった。この意味的な変化がいつ生じたのかを明らかにすることが本年度の主要な研究目的であったが明確には解答を出すことができなかった。問題になったのは、意味を確定する際に多くの用例が完了的な意味を持つとも継続的な意味を持つとも解釈可能であるということである。特に一般論的な事態を表す場合は、「その魚は好んで食べられている」、「その魚は好んで食べられる」のように、動作様態的に両方の意味を含むことが多く分類することが難しい。初期新高ドイツ語の実用散文にはそのような一般論的な事態を表す受動態の例がかなりの数見られるが、多くの場合動作様態という点では不明瞭である。そこでlieben「愛す」やhassen「憎む」のような特定の動詞による例を収集することを目指したが、そのような例は実際には多く現れないことが明らかになった。最終的には文脈から意味を確定するという古い手法によって分類する以外に方法がなかったが、そのためには対象となる動詞による用例が非常に少ないため現段階では意味変化の時期を確定できていない。戯曲のように会話が多く用いられる文献では表現される事態の時間関係が比較的明確であるので、調査対象をそこにしぼって今後も用例の収集を継続する必要がある。
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