2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルメニア語新約聖書語彙の比較分析とシソーラスの作成
Project/Area Number |
20520368
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千種 眞一 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 教授 (30125611)
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Keywords | アルメニア語 / シソーラス / 意味領域 / 異訳 / 談話標識 / 結束性 |
Research Abstract |
(1)類語検索型アルメニア語新約聖書シソーラスを作成するという目的の実現に向けた基礎作業として、平成20年度に開始した、新約聖書のアルメニア語語彙とギリシア語語彙との間に意味領域に基づいた対応関係を同定する作業を継続して行った。平成21年度は、出来事・振る舞い・認知等に関する意味領域(種々の身体活動、精神、感情、知覚、農耕、牧畜、葬祭、軍事、動産・不動産所有など)および抽象的な意味領域(空間、時間、数、量など)を対象として、アルメニア語新約聖書語彙を実際に生起するギリシア語・アルメニア語本文とともに抽出・分析して、データベース化を実施した。 (2)平成21年度は、具体的・抽象的な意味領域に加えて、異訳現象が期待されるギリシア語新約聖書の談話標識に対するアルメニア語翻訳をも検討課題とした。その結果、アルメニア語でも原則的に談話的機能を持つ小辞をできるだけ活用することにより、ギリシア語原文に忠実な訳が心がけられていることが明らかになった。しかし、同時に、アルメニア語がギリシア語の多種多様な小辞にすべて逐語的に対応可能な小辞には恵まれていないという実情は否定し難く、たとえばギリシア語小辞garへの対応に見られるように、翻訳をあえてしないことによって、談話の流れを阻害することなく、むしろ結束性をより高めて、読者の本文理解を容易にしている事例が見られることを明らかにした。これは逐語的な語彙に頼らない一種の異訳現象と認められ、アルメニア語新約聖書に固有の本文解釈を反映する証左として、従来の研究であまり顧みられることのなかったアルメニア語的談話構造の解明に寄与する重要な証拠となりうることを提示した。
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Research Products
(2 results)