2008 Fiscal Year Annual Research Report
状態再帰と与格受動-ドイツ語ヴォイス体系の解明を目指して
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20520371
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大矢 俊明 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (60213881)
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Keywords | 独語 / 状態再帰 |
Research Abstract |
本年度は,Er ist erkaltet.のようないわゆる状態再帰がどのような動詞から形成可能であるかを調査した。まず,Duden-Deutsches Universalworterbuchに掲載されているすべての内在的再帰動詞(計280)を抜き出し,インターネットによる例文検索,および母語話者に対するアンケート調査により,状態再帰が可能である動詞をリストアップした。状態再帰が可能である内在的再帰動詞は極めて少ないことが明らかとなり,さらにこれらの再帰動詞がオランダ語においてどのような動詞に対応するか調査した。この調査から,ドイツ語において状態再帰が可能である再帰動詞は,オランダ語では再帰動詞にならない,という一般化が得られた。オランダ語とドイツ語の再帰代名詞の大きな相違は,外項抑制をもたらす用法を持つか否かという点にあることを考慮すると(cf.大矢(2008)Oya(to appear),状態再帰が可能であるドイツ語の内在的再帰動詞は,もともと他動詞からの派生形であることが予測される。状態再帰を許す典型的な再帰動詞sich erkaltenは,歴史的には他動詞からの派生であることが確かめられるが,他の動詞についてもこの派生関係が想定できるわけである。この仮説が正しいとすると,状態再帰を許す再帰動詞の主語はもともと他動詞の直接目的語であったのだから,状態再帰の特性,すなわち過去分詞が主語を叙述するという点も説明できることになる。
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