2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520375
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
成田 節 Tokyo University of Foreign Studies, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (50180542)
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Keywords | 視点 / 視座 / 注視点 / 表現主体 / 人称代名詞 / 受動態 |
Research Abstract |
2008年度に引き続き,本研究の土台となる理論的な枠組みの確立を目指した。前年度までの研究で,日独両言語の構文を対照する上で重要であると考えられる観点として,「視座と注視点の区別」および「表現主体(≒視座)の位置の違い」の二つについて考察したが,2009年度は特にこの二つの観点がどのように関連するのか,また,それが具体的なテキストにどのように認められるかということを中心に考察を進めた。 夏にマンハイムのドイツ語研究所他で行った研究滞在では,本研究テーマに関する重要な文献および研究情報を入手することができ,「視点」概念をめぐる研究の広がりを確認できた。(これらの文献は研究補助者の協力を得て,過去数十年に収集した論文と共に整理し直した。)また,日本語のできるドイツ人研究者との議論を通じて,小説の翻訳における対応箇所を手掛かりとする研究方法の問題点を以前より明確に認識するに至った。 2009年8月にドイツ人ゲスト研究者を招待して開かれた日本独文学会のゼミナールでは,視点概念を整理し直す口頭発表をドイツ語で行った。また,2008年6月に日本独文学会で口頭発表を行った内容をまとめなおして,2009年10月に大学紀要に発表した。さらに,2010年1月に日本語研究者向けの月刊雑誌から特集記事執筆の依頼を受け,本研究のためにもいずれ必要な作業であると考え,ドイツ語の文成分についてあらためて整理し直す小論文を執筆した。 実際のデータ収集と整理に関しては,研究補助者の協力を得て,小説の翻訳から対応する表現の収集・整理を行う他に,ドイツ語の小説と新聞のコーパスおよび日本語の小説コーパスを利用して,それぞれの受動文を収集・整理し,受動文についての対照研究のデータを補強した。
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