2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520378
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西嶋 義憲 金沢大学, 経濟学経営学系, 教授 (20242539)
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Keywords | 慣用表現 / 日本語 / ドイツ語 / コミュニケーション / 定型表現 / 視点 / 評価概念 / 対人行動 |
Research Abstract |
当初の実施計画によると、今年度に予定していた研究は、対応する場面で使用されるドイツ語と日本語の慣用的な表現をアンケート調査によって収集し、それを分析・対照することであった。アンケート調査を日本とドイツで実施するにあたり、その質問項目のポイントを確定するために、予備調査として日独の対応する場面においてすでに日常的に使用されている慣用表現を対象に分析を試みた。その結果、使用場面が対応しているのでその機能は同じであったとしても、文法範疇はもとより、その表現様式がかなり異なり、その違いは、発話者の立場(表現視点)と関係があることがわかった。この点について「危ない」と"Vbrsicht"、「聞こえません」と"Lauter bitte"の二つのペアの分析結果に基づいて説明しよう。両表現ペアとも問題状況を回避ないし解決しようとする発話という点でその機能は同じであるが、日独でその表現様式がかなり異なっている。両ペアとも、日本語の表現は問題状況を主観的に記述・説明しているに過ぎないが、対応するドイツ語慣用句は相手に対して問題状況の解決を目指してある行動を要求している。こういった差異について考察し、認知言語学の視点に関する知見を援用して、主観的(状況内)把握と客観的(状況外)把握という観点から説明を試みた。この成果は、2009年9月に熊本で開催された国際学会(International Association for Intercultural Communication Studies:IAICS2009)で口頭発表した。発表原稿は論文として機関誌Intercultural Communication Studies(ICS)に投稿し、掲載が決まった。なお、この論文の日本語版は紀要(『金沢大学経済論集』)に掲載してある。上記のような認知言語学の観点を考慮した結果、質問項目を根本的に再検討する必要が生じ、日本とドイツにおけるアンケート調査は平成22年度に実施することとした。
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Research Products
(4 results)