2008 Fiscal Year Annual Research Report
キエフ・ルーシにおける文章語の成立と古教会スラブ語の影響
Project/Area Number |
20520383
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 昭裕 Kyoto University, 文学研究科, 教授 (50135498)
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Keywords | 言語学 / 外国語(中・英・仏・独除く) / 外国文学(中・英・仏・独除く) / 『過ぎし年月の物語』 / 『キリル伝』 / 『メトディオス伝』 |
Research Abstract |
本研究は、キエフを中心とした11世紀〜13世紀ロシアの文章語について、その基層となった東スラブ語と、それに対するスラブ世界における最古の文章語としての古教会スラブ語の影響という観点から検討し、その性格と成立の事情を明らかにすることを目指すものである。その際、従来の語彙論を中心とした議論に対して、テクストの構造と結束的なテクストを作り出すための種々の言語形式の使用に対象を絞り、その分野における古教会スラブ語の影響を明らかにすることを目指す。 平成20年度は、研究代表者がこれまでさまざまな研究計画の中でデータ化してきた1)『過ぎし年月の物語』『キリル伝』『メトディオス伝』『無名作者によるボリスとグレブの物語』『古教会スラブ語四福音書』テクストをベースに、基本的情報を書き込んだ、作業用基本テクストを作成する作業を行った。同一の基準に従って作成された基本テクストを用いることにより、それぞれで性格の異なる複数のテクストの比較、対照が簡単に行われ、かつ統計作業を同じ基準で行うことが可能になる。 また平成20年度の具体的研究成果として、ロシア年代記『過ぎし年月の物語』と南スラブ系聖者伝『キリル伝』『メトディオス伝』の言語の分析を行い、その成果を欧文論文の形で公刊するとともに第14回国際スラビスト会議で発表し、また『過ぎし年月の物語』のテクストの構造とその成立の問題についての研究成果を同じく欧文論文の形で公刊するとともにモスクワで行われたロシア年代記研究国際会議で発表した。
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