2009 Fiscal Year Annual Research Report
キエフ・ルーシにおける文章語の成立と古教会スラブ語の影響
Project/Area Number |
20520383
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 昭裕 Kyoto University, 文学研究科, 教授 (50135498)
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Keywords | 言語学 / 外国語(中・英・仏・独除く) / 外国文学(中・英・仏・独除く) / 『過ぎし年月の物語』 / 『キリル伝』 / 古教会スラブ語 / ザドンシチナ |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に続き、研究代表者がこれまでにテクストデータを作成してきたロシア年代記『過ぎし年月の物語』、南スラブ系の聖者伝『キリル伝』『メトディオス伝』、東スラブ系の聖者伝『無名作者によるボリスとグレブの物語』、古教会スラブ語の規範的テクストとしての『古教会スラブ語四福音書』のテクストをベースに、共通の転写法を用い、すべての動詞形式にインデックスを付けて通し番号ならびに動詞の形態に関する基本的情報を書き込んだ作業用基本テクスト作成の作業を継続した。また『シナイ詩篇』校訂テクスト、Ribarova, Z.and Z.Chauptova校訂旧約聖書テクスト、使徒書簡テクストからなるGrigorovicev Parimejnik等に従って、古教会スラブ語の福音書以外のテクスト、すなわち旧約聖書や使徒書簡のテクストをデータ化する作業を開始した。これらの作業は、それぞれで性格の異なる複数のアクストの比較、対照を簡単に行い、かつ統計作業を同一の基準で行うことを目的とするものである。また当初の計画とは多少異なるが、研究対象を、従来主として歴史的史料あるいは文学作品としての観点から研究されてきた『イーゴリ遠征物語』(推定12世紀)、『ザドンシチナ』(14世紀あるいは15世紀)等の中世ロシア文学作品に広げ、その言語を年代記の言語と比較しつつ、テクスト言語学的立場から研究する方法について検討を始め、その基礎的作業として簡述編集版『ザドンシチナ』校訂テクスト作成の作業等を行った。
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