2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520392
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小方 伴子 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (10347255)
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Keywords | 『国語』 / 版本 / 校勘 / 段玉裁 / 顧千里 / 『説文解字注』 / 『説文解字読』 |
Research Abstract |
本課題の目的は、清朝の校勘学者や藏書家によって『国語』の版本に書き入れられた題跋、校勘記、校語などが、清朝人の『国語』の札記や注釈、及びその他の著作にどのように利用されているかを、校本(校勘記や校語が書き入れられている版本)の原本調査の結果から導き出すことにあった。清朝人の『国語』の校本には、陸敕先校本、恵棟校本、盧文〓校本、段玉裁校本、黄丕烈校本、顧千里校本などがある。本課題ではそれらの中からおもに段玉裁校本を取り上げた。段玉裁の『国語』校本は、現時点では所在不明である。臨本が二種類(顧之逵校本、顧千里校本)存在しているが、そのひとつである顧之逵校本については、先行研究の記述に矛盾がみられる。報告者はまずその二種類の臨本の由来と書き入れの詳細を、原本調査を踏まえて可能な限り明らかにした。次に臨本に書き入れられている段玉裁の跋文、校勘記、校語などを詳察し、それらが乾隆嘉慶年間の『国語』の注釋や札記、或いはその他の著作にどのように取り入れられているかを検討した。今年度の具体的な実績としては、段玉裁の代表作である『説文解字注』の引用テキストが段玉裁校本であることを、原本調査により明らかにした。さらに『説文解字注』における『國語』の引用を、可能な限り段玉裁の執筆環境に即して論じるために、報告者が考えうる最善の方法を提示した。
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