2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520397
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
村杉 恵子 Nanzan University, 外国語学部, 教授 (00239518)
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Keywords | 文法獲得 / 機能範疇 / 生成文法 / 動詞 / 中間段階 / Root Infinitives / 誤用 / 幼児 |
Research Abstract |
本研究は、心理言語学研究のひとつである母語獲得のメカニズムを、生成文法理論の枠組みで捉える研究である。本研究の目的は、複数の言語における言語獲得の中間段階の文法体系を精査し、それらの拝見にある普遍文法の原理・パラメターを言語獲得と文法理論の両面から探り、言語獲得理論の精緻化を目指した。本年度の具体的な成果は、以下のとおりである。 (1)ヨーロッパ言語を中心として言語獲得の初期段階にみられるRoot Infinitivesという現象が、日本語にもみられることを研究史上、はじめて明らかにした。この成果は、ボストン大学言語獲得研究学会(ボストン、米国)ならびに日本語韓国語言語学会(ニューヨーク市立大学、米国)、GLOW in Asia(ハイデラバード、インド)において発表した。 (2)機能範疇が観察されないとする事実に対してRadford(1990)をはじめとして提案された小節仮説を検証した。幼児の言語獲得の初期に機能範疇は存在するのか、するとすればどのような形態的具現化を伴うのかについて理論的実証的に検証した。具体的には、格の誤用に焦点をあて、なぜ、日本語のような格表示が豊かな言語における誤用を実証的に調査し、なぜそのような誤用がみられるのかについて、今年度は誤った与格主語に関して理論的分析をおこなった。この成果は、GGALANA(生成文法に基づくアメリカの言語獲得学会、コネチカット大学)などにおいて発表した。 また機能範疇一般を鳥瞰するため、言語産出における一般的なスピーチエラー(誤用)にっいても調査し、朝倉書店からの本において一章を執筆した。
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Research Products
(10 results)