2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520406
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金田 章宏 Chiba University, 国際教育センター, 教授 (70214476)
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Keywords | 記述文法 / 琉球方言 / 形態論 / 西表 |
Research Abstract |
当該年度内に4回にわたって現地で聞き取り調査をおこなった。調査結果をカナとローマ字で文字化し、対訳と必要なタグをつけながら、文単位で単語ごとに検索できるようデータベース化を継続している。 聞き取り調査自体は文法全般にわたるが、当該年度にはとくに西表方言における名詞の格ととりたての特徴をとりあげ、研究会発表と論文発表をおこなった。そこでは名詞のそれぞれの格形式の意味用法と、とりたて助辞が付属した諸形式の意味用法を明らかにした。また、独自の語形変化をする1人称代名詞についても、その特殊性を明らかにした。 このほか、すでに形容詞についても、活用タイプの特徴やいくつかの語形の多義性、同音語性について、論文発表の準備をすませてある。また、動詞のアスペクトにかかわるいくつかの派生形式の意味用法や、指示語の意味用法などについても、データの蓄積によってその実態がじょじょに明らかになりつつあり、次年度の発表を予定している。 良質のデータの量が研究の質を保証するが、こうした地道な調査の積み重ねによって文法体系の全体記述を深めていくというのが本研究の目的であり、重要な意義でもある。 現在、他大学の研究代表者が中心となって、南琉球方言全体を視野に入れた記述が同時進行ですすめられている。本研究もそれらと連動するかたちで、随時、研究成果について情報交換をおこなっており、有機的連携によるより大きな成果が期待される。
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