2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520406
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金田 章宏 千葉大学, 国際教育センター, 教授 (70214476)
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Keywords | 八重由方言 / 西表方言 / 形態論 / 動詞の自他 / 活用タイプ / アスペクト・テンス・ムード / 痕跡相 |
Research Abstract |
当該年度は5回におよぶ現地調査により、沖縄西表島祖納方言の動詞の形態論を中心に調査し、実例に基づきながら「沖縄西表島(祖納)方言動詞の活用タイプ」「沖縄西表島(祖納)方言動詞の自他のタイプ」「沖縄西表島祖納方言アスペクト・テンス・ムード体系の素描」にまとめた。これによって、当該方言の動詞の特徴が浮かび上がった。 その一つが、ある種の動詞の自動詞と他動詞で一方の肯定形と他方の否定形が同音になる現象である。また、ある動詞の肯定形がべつの動詞の否定形になるといった現象である。これは隣接する石垣方言にはみられず、ほかの琉球諸方言にもない現象である可能性がある。 また、動詞の活用タイプの多様性も確認されたが、同様に活用タイプの多様な石垣方言とは、所属する語彙の違いも多数みられた。 アスペクト・テンス・ムード体系についてはその概要を記述したが、琉球諸方言全体に共通するような側面が多くみられる一方で、はやり石垣方言などとの違いも少なくないことが確認された。 総合的にみて、動詞における八重山方言内部の多様性が明らかになったが、これは前年度までの名詞と形容詞の形態論調査においても同様にいえることであり、少なくとも島ごとの調査が必要であることをはっきりとあらわしている。こうした詳細な調査結果をもとに周辺の方言との比較をすすめながら、さらに調査研究を深化させていく必要がある。
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Research Products
(5 results)