2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本語の「とりたて」の範囲と成立条件に関する研究
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20520407
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安部 朋世 Chiba University, 教育学部, 准教授 (00341967)
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Keywords | とりたて / おもに / 副詞 / とくに / ことに / とりわけ / 程度量 |
Research Abstract |
本年度は、とりたて副詞に分類される形式のうち「オモニ」を中心として分析・考察を行った。 まず、オモニと、同じくとりたて副詞に分類されるトクニ・コトニ・トリワケとを、とりたてられる要素である「当該要素」、それと対比される「他の要素」、それらを要素とする「前提集合」の3者の関係に注目して比較分析した結果、トクニ・コトニ・トリワケは、「当該要素も他の要素も、ともに前提を満たす(肯定される)要素として肯定的に捉えられている」ことを前提として、「当該要素が前提を満たすものとして顕著である」と捉えられているのに対して、オモニでは、他の要素も当該要素とともに「前提を満たす(肯定される)要」として捉えられているものの、「他の要素は肯定されてはいるが否定されるに等しいもの」と捉えられている点を指摘した。 また、トクニの「特別に」用法とオモニの違いとして、トクニの「特別に」用法では、当該要素以外の他の要素が否定されるのに対し、オモニは「他の要素がないに等しい」が、全く否定されるわけではない点を挙げた。 さらに、「概略・概括的な程度量の副詞」とオモニーとの違いについて、前者が程度量を示すものであるのに対し、後者はとりたての特徴である「当該要素と他の要素との関係」によって捉えられるものであることを指摘した。 以上の成果をもとに、次年度も継続してとりたて副詞の用例の収集とその分析を行い、とりたて副詞の範囲と成立条件について明らかにしていく。
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