2009 Fiscal Year Annual Research Report
書記史・文体史研究資料としての勧修寺法務寛信撰述書の調査研究
Project/Area Number |
20520423
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
山本 真吾 Shirayuri College, 文学部, 教授 (70210531)
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Keywords | 書記史 / 文体史 / 勧修寺法務寛信 / 国語資料研究 / 国語学 |
Research Abstract |
本年度は、当該研究課題の2年目にあたり、昨年度の基礎的調査を踏まえて、さらに調査の補足と、成果の公表とを積極的に行った。文献調査は、東寺・石山寺・高山寺の諸寺院経蔵における、平安時代及びこれに連なる鎌倉時代の仏書漢字仮名交じり文資料の原本調査を行った、その中で、とりわけ東寺所蔵文献に寛信関係資料として有益な文献が多く認められた。以下の(1)~(3)はその具体的な文献資料の概要である。 (1) 一四八箱一号「御遺告」一巻は、鎌倉時代元亨元年書写の巻子本であるが、勧修寺法務寛信の説を伝えるものであることが分かり、「御遺告」を訓読し、加点した営為を伝える文献として貴重である。 (2) 一七六箱五号「作法集」二冊は、鎌倉時代元亨二年書写の袋綴装であるが、第一冊の巻第二の「伝法潅頂外儀」の箇所の朱書が、やはり、「寛一法務草」の「勧修寺本」に拠って「朱付加」したものという。これは、仁和寺・紫金台寺御室の御入壇の記録であり、本文自体が、仏教儀礼の日記であって、僧家の日本漢文体の資料として有益である。 (3)一九六箱四号「如法尊勝 勧」一帖は、鎌倉時代文保二年の書写で、これもその本奥書に見えるように「此文先師寛一法務染筆也」と弟子の「明海」が記しており、寛信撰述書の一つと見られる。 本年度は、研究成果の一端を、外国にも発信すべく、中華人民共和国・西南交通大学において口頭発表(「古文献の表記-漢字・平仮名・片仮名-」)を行い、12世紀に活動した一僧侶(=寛信)の言語生活に焦点を当てて書記史の観点から論じた。
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Research Products
(4 results)