2011 Fiscal Year Annual Research Report
書記史・文体史研究資料としての勧修寺法務寛信撰述書の調査研究
Project/Area Number |
20520423
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
山本 真吾 白百合女子大学, 文学部, 教授 (70210531)
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Keywords | 書記史 / 文体史 / 勧修寺法務寛信 / 国語資料研究 / 国語学 |
Research Abstract |
本研究の最終年度の前年にあたる本年度は、研究計画に沿って予定通り進められているかどうかの点検も行いながら、次の(1)(2)の成果を得た。 (1)ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)第13回国際会議(エストニア・タリン大学:8月24~27日)に参加して、「The Scope and Prospects of Kunten Research in Japan」の総合題目の下、4名の研究者が各専門領域の内容ごとに発表を行った。このうち、山本は「和化漢文の文体的特徴とその国語学的な貢献」と題して、寛信撰述書の多種多様な変体(和化)漢文資料を紹介し、文体的特徴の指標を提示し、院政期変体(和化)漢文体の全体像を展望する内容を発表した。さらに、シンポジウム「日語研究的現状与展望」において「漢文と仮名交じり文」(中華人民共和国、黒竜江大学:9月10日)と題した発表で、寛信撰述書のうち、特に漢文文献と仮名交じり文献との言語的相違について述べた。 (2)近畿地方の京都市・高山寺、東寺、奈良市・奈良文化財研究所等に所蔵の院政期漢文体資料の調査を実地に行い、寛信撰述書の文体的特徴を記述するための比較材料を収集し、分析を行った。今年度は、特に寛信の日記、事相書、表白の特徴を記述するための補足調査を実施した。 上記のような成果が得られるとともに、次のような課題の存することも明らかになり、これらが次年度の課題となる。 (3)漢文資料において未調査の文献が多数存することが確認され、原本調査の継続が必要であること。 (4)寛信撰述書の書記、文体史的意義を明確にするために比較材料を探索して相対化を図ることが必要であること。 (5)比較文献は、国内資料に限定せず、海外の漢文文献にも拡大すること。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古文献調査に長年従事した経験に基づいて調査計画を立てており、目下のところ、無理なく、効率的に調査が進んでいる。但し、今後も新資料が発見される可能性はあるので、その部分では柔軟に対応してゆきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
近年の日本漢文研究は、東アジアの広域的な視野の導入によって、漢文文化圏という枠組みの中での研究が盛んになってきている。本研究推進の方策については、この動向もにらみ合わせながら、寛信撰述書の文体的特徴と認めた言語要素の遡源的研究にも取り組む予定である。
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Research Products
(4 results)