2012 Fiscal Year Annual Research Report
書記史・文体史研究資料としての勧修寺法務寛信撰述書の調査研究
Project/Area Number |
20520423
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
山本 真吾 白百合女子大学, 文学部, 教授 (70210531)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | 勧修寺法務寛信 / 院政期言語 / 書記史 / 文体史 |
Research Abstract |
12世紀平安末の院政時代は、書記史の上では「片仮名交じり文」が隆盛し、文体史の上では「和漢混交現象」が拡大するという画期にあたる。本研究課題に掲げた勧修寺法務寛信撰述書は、これまで仏教史料としては取り上げられることはあったが、日本語史の研究材料としてはほとんど顧みられることはなかった。しかし、この文献群に注目するなかで院政期表記体の総体の縮図となり得るとの見通しをもつに至り、この問題を深化、拡充するのにふさわしい言語資料であると認めて研究を推進した。 本研究は、この文献資料を発掘し、内容吟味を施した上で、院政期の書記史、文体史上、どのような位置を占めるかについて考究したものである。 本研究では、まず、勧修寺法務寛信撰述書の所在を確かめ、目録を作成したうえで、実地に原本調査を行い、書誌的事項の確認、本文の入力等を行うことを目指した。具体的には、高山寺所蔵文献を取り上げ、その中でも特にまとまった言語量を有し、多様な表記形式を持ち、良質で複数の古写本を持つ「類秘抄」を主材料として調査を行い、本文の入力データを作成した。 「類秘抄」は漢文、片仮名交じり文、平仮名交じり文の種々の表記体の文章を混在させており、引用元の原表記をそのまま尊重する傾向が認められた。それらの混交状況をどれかの表記体に統一することも可能性としては存したにもかかわらず、一つの文献内に異質の表記体の文章を併存させているということが分かった。 これと連動して、それぞれの表記体ごとに、漢文訓読語、和文語、記録体の用語のそれぞれが一文献中に混在していることも分かった。 こういった成果と、これまでの平家物語や今昔物語集等の文学作品によって行われてきた文体史研究の成果とを関連づけることが今後の課題であり、この必要性を研究発表会等でも訴えた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)